オイルメーカーとしての第一歩 その3

これはあるオイルメーカーのお話しです。

NUTEC の生みの親、NUTEC JAPAN社長 鳩谷和春のバックグランドストーリー第6弾。
これは、ノンフィクションです。

オイルメーカーとしての第一歩 その3

オイルメーカーとして歩み始めたNUTEC。NUTECはメーカーであり、販売をお願いする会社としては国内大手オイル卸会社の力をお借りすることにした。

その販社のスタッフも鳩谷の興したNUTECというオイルの性能に下を巻いた。しかし、如何に高性能なオイルにしてもエンドユーザーに対しての告知、認知が当然必要だ。

自動車、バイク雑誌に対する広告の出稿というのは当たりまえの方法だが、NUTECは、敢えて広告だけという手法を取らなかった。それは現在も変わらない。

雑誌社にも実際にオイル交換等の施工を実施し、雑誌記者の目でその優秀性を確認して貰った。

そして、まれにNUTEC製品と比較対象の製品との差が出なかったこと、また比較対象製品の方が数値が良かったことあった。そのような時であっても鳩谷は「テストの結果を歪曲するようなことはしないで下さい。

事実をそのまま紙面に載せて下さい。しかし、どのような状況でテストを行ったかは、しっかりと示して下さい」と雑誌社に伝えた。幸いにテストではNUTEC製品が良好な数値を示さなかったことは殆どなかった。
また、NUTECのホームページを立ち上げて製品特徴、製品紹介を行うと同時にトップページにQ&Aの項目を設けた。

ユーザーから寄せられた問いに対して一つ一つ鳩谷自身が丁寧に答えた。エンジンビルダーとして、チューナーとしての豊富な経験と知識。高性能オイルを求め、開発してきたというキャリアによって、誰にでも判りやすく答えて来た。現在もその対応は変わらない。

この作業を通じて感じた事は、ユーザーは思っていた以上にオイルに対する知識を欲しているということだった。そして、NUTECの特徴でもあるブレンドを紹介すると、こちらが予想していなかったようなアイデアをお客様から教えられたこともあった。

このQ&Aの作業を通じてエンドユーザーとの情報交換と同時に新たなる製品のアイデアを蓄積していった。

現在もホームページ上には、この作業を始めた当初からのアーカイブがある。NUTECのQ&Aの特徴としては、一人のエンドユーザーが何度かやり取りをしながら思い思いのNUTECの使い方を編み出しているという点にある。

その最たるものがブレンドだ。季節毎に、走りの変化を求めるために、車種別にとブレンドの割合が正しいかQ&Aとしてアクセスしてくることが多い。

そこには、オイルを介してご自身のカーライフやバイクライフを楽しんでいることが感じられる。
これによって、NUTECというオイルはオイルという存在を超え、消耗品に留まらず、嗜好品の領域にあることが確認された。

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